
Meta Quest 3を半年使い倒した正直な感想 – Quest 2からの買い替えは正解だったのか?
昨年末にMeta Quest 3を購入してから、早いもので半年が経過した。Quest 2を2年ほど愛用していた身として、「果たして買い替える価値があったのか?」という疑問を抱きながらも、新しいもの好きの性分に負けてポチってしまったわけだが、実際に使い込んでみた感想を率直にお伝えしたい。
第一印象:やっぱり見た目は大事
開封した瞬間、Quest 2との最大の違いは「薄さ」だった。特に前面部分のスリム化は想像以上で、Quest 2の「いかにもVRヘッドセット」という野暮ったさが大幅に改善されている。白一色だったQuest 2に比べて、Quest 3のグレー系の配色は落ち着いており、リビングに置いていても浮かない。これは地味だが重要なポイントだ。
ただし、軽くなったかというと微妙なところ。数値上は軽量化されているはずだが、装着感としてはQuest 2とそれほど変わらない。むしろ前面が薄くなった分、重心バランスが変わって人によっては違和感を覚えるかもしれない。
容量選択:128GBか512GBか、悩ましい選択
購入時に最も悩んだのが容量の選択だ。128GBと512GBの2択で、価格差はそれなりにある。半年使った今だからこそ言えるが、どちらを選ぶべきかは使用スタイルによって大きく変わる。
私は128GBモデルを選択したが、現在の使用容量は約80GB程度。主にプレイしているのは「Beat Saber」「FitXR」「Asgard’s Wrath 2」など10本程度のアプリで、動画コンテンツはほとんどダウンロードしていない。この使い方なら128GBでも十分だった。
ただし、注意点がある。Quest 3の大作ゲームは容量が大きく、「Asgard’s Wrath 2」だけで8GB以上消費する。今後リリース予定のAAAタイトルを考えると、ゲーム好きなら512GBを選んでおいた方が安心だろう。
また、映画やVR動画をダウンロードして楽しみたい人も512GB推奨だ。高画質のVR動画は1本で数GBになることも珍しくない。出張先や移動中にオフラインでコンテンツを楽しみたいなら、容量は多いに越したことはない。
個人的には、クラウドストリーミングが普及すれば容量問題は解決されると考えているが、現状では通信環境に左右される部分も大きい。予算に余裕があるなら512GBを選んでおけば、後悔することはないだろう。
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セットアップ:思ったより手こずった
Quest 2からのデータ移行を期待していたのだが、これが意外と面倒だった。アプリは再ダウンロードが必要で、セーブデータも一部は引き継げないものがある。特にフィットネス系アプリの履歴が消えてしまったのは正直ガッカリした。
一方で、ルームスケールの設定は格段に楽になった。Quest 2では境界線を手で描く必要があったが、Quest 3はカメラで部屋を認識して自動的に安全エリアを設定してくれる。これは本当に便利で、友人宅でVRを楽しむ際の煩わしさが大幅に軽減された。
画質の進化:これは確実に体感できる
Quest 2から最も進化を感じるのは間違いなく画質だ。解像度の向上もさることながら、パンケーキレンズの恩恵でクリアな視界が得られる。Quest 2では画面端のボケが気になっていたが、Quest 3では視野の隅々まで鮮明に見える。
特に文字の読みやすさは劇的に改善された。Quest 2では長時間のテキスト読みは目が疲れたが、Quest 3なら仮想デスクトップでのブラウジングも現実的になった。ただし、完璧というわけではなく、まだまだPCモニターの代替にはならないレベルだ。
MR(複合現実)機能:期待と現実のギャップ
Quest 3の目玉機能であるMRについては、正直なところ「まだまだこれから」というのが率直な感想だ。パススルー機能は確かにQuest 2より格段に良くなっており、現実世界がカラーで、そこそこクリアに見える。家事の合間にちょっとVRを楽しみたい時には重宝している。
しかし、MRアプリの充実度はまだまだだ。デモ的なアプリはいくつかあるものの、「これは日常的に使いたい」と思えるものは少ない。現実空間に仮想オブジェクトを配置する精度も、時々ズレることがあり、完璧とは言い難い。
ゲーム体験:没入感は確実にアップ
ゲーム体験については文句なしに向上している。「Asgard’s Wrath 2」や「Batman: Arkham Shadow」といった大作タイトルでは、Quest 2では体験できないレベルのグラフィックとフレームレートを実現している。
特に印象的だったのは「Red Matter 2」だ。Quest 2版と比較すると、光の表現や細部のテクスチャが段違いで、同じゲームとは思えないほどの差がある。ここまで来ると、Quest 2に戻るのは難しいと感じるレベルだ。
一方で、Quest 2でも十分楽しめていたカジュアルゲームについては、劇的な変化は感じられない。「Beat Saber」のような音ゲーでは、画質向上の恩恵よりも、むしろ次に述べるトラッキング精度の向上の方が重要だった。
フィットネス用途:汗の問題が深刻
フィットネス目的でVRを活用している人間として、Quest 3の運動系アプリでの使用感は重要なポイントだ。トラッキング精度の向上により、「FitXR」や「Supernatural」での動きの認識は確実に良くなった。特に腕の動きの細かな違いを認識してくれるようになったのは嬉しい改善点だ。
しかし、大きな問題がある。汗だ。Quest 3は前面がより密閉されており、激しい運動をすると内部に湿気がこもりやすい。レンズが曇るだけでなく、最悪の場合は故障の原因にもなりかねない。Quest 2では扇風機を回しながらでもなんとかなったが、Quest 3では運動強度を抑えるか、短時間で区切るかの工夫が必要だ。
フェイスクッションも汗を吸いやすく、衛生面での管理がより重要になった。交換用クッションの購入は必須と考えた方が良いだろう。
バッテリー持続時間:期待したほどではない
Quest 2と比較してバッテリー持続時間が向上しているという触れ込みだったが、実際の使用感としてはそれほど変わらない印象だ。ゲームの種類にもよるが、大体2時間程度で充電が必要になる。
ただし、充電速度は向上している。Quest 2では満充電まで3時間近くかかっていたが、Quest 3は2時間程度で完了する。急いでVRを楽しみたい時には助かる改善だ。
スタンバイ時の電力消費も少なくなったようで、数日使わなくてもバッテリーが完全に切れることは少なくなった。これは地味だが日常使いでは重要な改善点だ。
コントローラー:賛否両論
新しいTouch Plusコントローラーについては賛否が分かれるところだ。トラッキング精度は向上しており、細かな手の動きもより正確に認識される。グリップ感も改善されており、長時間の使用でも手が疲れにくい。
一方で、トラッキングリングが小さくなったことで、激しい動きの際にトラッキングを見失うことがある。特に「Beat Saber」のような高速で腕を振り回すゲームでは、Quest 2のコントローラーの方が安定していたように感じる。
また、ハンドトラッキング機能も改善されているが、まだまだコントローラーの代替になるレベルではない。簡単な操作なら問題ないが、精密な作業や長時間の使用には向かない。
他社製品との比較
半年の間に、友人のPICO 4やVision Proも体験する機会があった。PICO 4は価格面では魅力的だが、アプリの充実度や全体的な完成度ではQuest 3に分がある。Vision Proは確かに革新的だが、価格差を考えると一般消費者向けではない。
現時点では、VR初心者からある程度経験のあるユーザーまで、幅広く勧められるのはQuest 3だろう。ただし、完璧な製品ではないことも付け加えておきたい。
購入を検討している人へのアドバイス
Quest 2からの買い替えを検討している人には、「急ぐ必要はない」というのが正直なところだ。確かに改善点は多いが、Quest 2でも十分楽しめるタイトルがほとんどだ。ただし、画質や新しい体験にこだわりたい人、MR機能に興味がある人なら、満足度は高いだろう。
VR初心者の場合は、Quest 3を選んでおけば間違いはない。多少高くても、長く使うことを考えれば価値はある。

総評:期待値調整が重要
半年使った結論として、Quest 3は確実に進歩した製品だ。画質、処理能力、MR機能など、様々な面でQuest 2を上回っている。しかし、「革命的」というほどの変化ではなく、「順当な進化」という表現が適切だろう。
特にMR機能については期待しすぎない方が良い。現時点では「おまけ機能」程度に考えておいた方が後悔しない。
それでも、VRの未来を体験したい、最新の技術に触れていたいという人には間違いなく勧められる製品だ。ただし、完璧を求めすぎず、現在のVR技術の限界も理解した上で購入することをお勧めする。
個人的には、Quest 4の登場まではこれをメイン機として使い続けるつもりだが、その頃にはVR業界全体がどう変化しているか、今から楽しみでもある。
技術の進歩は日進月歩だが、Quest 3は現時点でのVRの到達点として、十分に価値のある製品だと言えるだろう。
【追記】最新アップデート情報(2025年5月)

このレビューを書いた後、Metaから興味深いアップデート情報が発表されたので追記しておきたい。
まず注目すべきは、Instagram上の写真を3D表示する新機能のテストが開始されたことだ。これはAIによるビュー合成アルゴリズムを使って、通常の2D写真を自動的に立体的に変換する技術らしい。特別な3Dカメラで撮影していない普通の写真でも、Quest上で見ると奥行き感のある表示になるというものだ。
正直に言うと、これは期待と不安が半々だ。家族や友人の写真がより立体的に見えるのは魅力的だが、MR機能の現状を考えると、どこまで自然な3D表示が実現できるのか疑問もある。ただし、日常のSNS体験をVR空間に持ち込むという発想は面白く、実際に試せる日が来るのが楽しみだ。
もう一つの注目点は「ナビゲーター」という新しいホーム画面のテストだ。これまでのQuest 3のインターフェースは、PCユーザーからすると若干もどかしい部分があったが、最近使ったアプリへの素早いアクセスや、最大10件のピン留め機能など、確実に使い勝手が向上しそうな改善が盛り込まれている。
特に「ヘッドセットを装着したままでPCのようにマルチタスクをこなせる」という部分には期待している。現在のQuest 3でも複数アプリの切り替えは可能だが、スムーズさに欠ける部分があったからだ。
ただし、これらの機能はまだテスト段階で、すべてのユーザーが利用できるわけではない。Metaお得意の段階的なロールアウトということだろう。個人的には、こうした新機能の発表があると「やはりQuest 3を選んでおいて正解だった」と感じる。Quest 2では体験できない、最新の技術トレンドをいち早く試せるのは、やはり新しいもの好きには嬉しいポイントだ。
VRとSNSの融合、より直感的なUI、そして空間コンピューティングへの進化。Quest 3は単なるゲーム機ではなく、未来のコンピューティング体験のプラットフォームとしての性格を強めている。半年前の購入判断は、間違いなく正解だったと改めて感じている。
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