今年の初めにOura Ring 4を購入してから3か月が経過した。Ring 3を1年以上愛用していた身として、「本当にアップグレードする価値があったのか?」という疑問を抱きながらも、結局新しいもの好きの血が騒いでポチってしまった。実際に日常使いしてみた感想を、良い点も悪い点も含めて率直にお伝えしたい。
サイジングキット:通販で指輪を買う不安を解消
まず購入前に最も心配だったのがサイズ選びだった。指輪を通販で買うなんて、普通なら考えられない。しかし、Ouraのサイジングキットのおかげで、この不安は完全に解消された。
サイジングキット自体は実質無料だ。Ring 3の時代から変わらず、この仕組みは本当に親切だと思う。届いたプラスチック製のサンプルリングを数日間装着してみて、最適なサイズを見極められる。
特にRing 4では、Ring 3よりもサイズ展開が増えており、より細かなフィッティングが可能になった。私はRing 3では9号を使っていたが、Ring 4では8号がベストフィットだった。センサー部分の形状変更により、同じサイズでも装着感が変わっているようだ。

第一印象:見た目の洗練度が大幅アップ

開封した瞬間に感じたのは、Ring 3と比べて明らかに洗練されたデザインだった。全体がチタン素材になったことで、質感が格段に向上している。Ring 3では時々感じていた「ガジェット感」が薄れ、普通のアクセサリーとしても違和感がない仕上がりになった。
センサー部分が埋め込み式になったのも大きな改善点だ。Ring 3ではセンサーの出っ張りが気になることがあったが、Ring 4では完全にフラットになっている。これにより、長時間装着していても圧迫感や違和感がほとんどない。
カラーバリエーションも増えており、私はシルバーを選択したが、ブラックやローズゴールドなど、好みやファッションに合わせて選べるのは嬉しいポイントだ。
装着感:24時間つけっぱなしが苦にならない
Ring 3を使っていた時も装着感に大きな不満はなかったが、Ring 4はさらに快適になった。特に睡眠時の装着感が改善されており、朝起きた時に指に跡が残ることがほとんどなくなった。
ただし、完璧というわけではない。激しい運動をする際は、やはり指輪が気になることがある。特に重量トレーニングでバーベルを握る時などは、一時的に外すことも多い。この点はスマートリングという製品カテゴリーの限界でもあるだろう。
また、冬場は金属の冷たさを感じることがある。朝一番に装着する時は、しばらくひんやりとした感触が続く。これは些細なことだが、日常使いでは気になるポイントだ。
バッテリー持続時間:約8日間は本当だった
公称8日間のバッテリー持続時間については、実際の使用でもほぼその通りだった。Ring 3では5-6日程度だったので、確実に改善されている。
私の使用パターンでは、だいたい7日半から8日程度で充電が必要になる。充電時間も約1時間程度で満充電になるので、朝のシャワー時間に充電すれば十分だ。
バッテリー持続時間の向上は、日常使いでの利便性を大きく向上させている。Ring 3の時代は週に2回充電が必要だったが、Ring 4なら週1回で済む。これは地味だが重要な改善点だ。
睡眠トラッキング:精度向上を実感
Ring 4の最大の売りの一つが睡眠トラッキング精度の向上だ。特定の指標で最大120%の精度向上を実現しているとのことだが、実際の使用感としても改善を感じる。
特に睡眠段階の判定がより正確になったように思う。Ring 3では時々「明らかに起きていた時間」を睡眠時間として計測することがあったが、Ring 4ではそうした誤判定が明らかに少なくなった。
心拍数の測定も安定している。Ring 3では時々データが飛んでいることがあったが、Ring 4では途切れることがほとんどない。深部体温の測定も含めて、全体的にデータの信頼性が向上していると感じる。
ただし、完璧ではない。昼寝の検出はまだまだ不安定で、30分程度の短い仮眠は見逃されることが多い。また、寝返りの際に一時的に外れた場合の補正機能も、改善の余地がありそうだ。
アプリの進化:データの見やすさが向上
2024年にアプリが大幅にアップデートされ、レイアウトがより整理された。Ring 3の時代と比べて、必要な情報にアクセスしやすくなっている。
特に気に入っているのは、メインスコア(Readiness、Sleep、Activity)が上部に分かりやすく表示されるようになったことだ。朝一番に前日の状態を把握するのが格段に楽になった。
ストレス耐性、心血管年齢、有酸素能力、睡眠規則性、そして chronotype(時間型)といった長期的な健康指標も追加されており、単発のデータではなく、トレンドとして自分の健康状態を把握できるようになった。
ただし、データが多すぎて逆に迷うこともある。特にVIP機能(後述のサブスクリプション)を使っていると、情報過多になりがちだ。もう少しシンプルな表示オプションがあると良いのだが。
健康管理での実用性:日常の意識が変わった
3か月使ってみて最も価値を感じているのは、日常的な健康意識の変化だ。毎朝のReadinessスコアを見ることで、「今日は軽めにしておこう」「調子が良いからしっかり運動しよう」といった判断ができるようになった。
特に睡眠スコアは生活リズムの改善に直結している。Ring 3の時代から感じていたことだが、数値化されることで睡眠の質への意識が格段に高まる。就寝時刻を一定にする、寝室の温度を調整するといった基本的な睡眠衛生が身についた。
体温トラッキングも、体調の変化を早期に察知するのに役立っている。風邪の兆候を普段より1-2日早く察知できることが何度かあり、重症化を防げたケースもあった。
ただし、データに振り回されすぎるのも考えものだ。スコアが低い日に必要以上に気分が落ち込んだり、逆に過信しすぎたりするリスクもある。あくまで参考値として捉える心構えが重要だろう。
サブスクリプションの必要性:正直微妙
Oura Ring最大の議論ポイントが月額課金のOura Membershipだ。Ring購入後、6か月間は無料で使えるが、その後は月約600円のサブスクリプションが必要になる。
3か月使った感想として、「基本機能だけなら無料版でも十分」というのが正直なところだ。睡眠スコア、活動量、心拍数といった核心的な機能は無料でも利用できる。
有料版の追加機能(詳細な睡眠分析、トレンド分析、パーソナライズされたアドバイスなど)は確かに便利だが、月600円の価値があるかは人それぞれだろう。健康管理に本格的に取り組みたい人なら価値を感じられるが、単純にデータを見たいだけなら無料版で十分かもしれない。
個人的には、Ring 3の時代から継続してサブスクリプションを利用しているが、「絶対に必要」とまでは思わない。無料期間が終了したタイミングで、一度解約して必要性を判断することをお勧めする。
他のウェアラブルデバイスとの比較
Apple Watchを併用している身として、使い分けについても触れておきたい。Apple Watchは通知機能やアプリの充実度では圧倒的だが、睡眠トラッキングの精度と装着感ではOura Ringに分がある。
特に睡眠時の装着に関しては、Apple Watchは重くて邪魔に感じることが多いが、Oura Ringなら全く気にならない。バッテリー持続時間も大きなアドバンテージだ。
Samsung Galaxy Ringという競合製品も登場したが、アプリの成熟度やデータの蓄積を考えると、現時点ではOura Ringの方が安心感がある。ただし、今後の競争次第では状況が変わる可能性もある。
Ring 3からの買い替えは必要か?
最も重要な質問への答えは「急ぐ必要はない」だ。確かにRing 4は様々な面で改善されているが、Ring 3でも基本的な健康管理には十分だ。特に睡眠トラッキングの精度については、劇的な差があるわけではない。
ただし、以下のような人には買い替えをお勧めする:
- Ring 3の装着感に不満がある人
- より長いバッテリー持続時間を求める人
- 最新の健康指標に興味がある人
- デザイン面でのアップグレードを重視する人
逆に、Ring 3で満足している人、特に健康管理の基本的な機能だけを求める人なら、無理して買い替える必要はないだろう。
購入を検討している人へのアドバイス

スマートリング初体験の人には、間違いなくRing 4をお勧めする。現時点で最も完成度の高いスマートリングだからだ。
ただし、以下の点は理解しておいた方が良い:
- 継続的なサブスクリプション費用がかかる可能性
- 激しい運動時は外す必要があることもある
- データに一喜一憂しすぎないメンタルが重要
- 医療機器ではないので、健康上の判断は医師に相談
また、必ずサイジングキットを利用することを強く勧める。サイズ選びを間違えると、せっかくの優秀なデバイスが台無しになってしまう。
総評:順当な進化だが価値はある
3か月使った結論として、Oura Ring 4は「順当な進化」を遂げた製品だ。革命的な新機能があるわけではないが、あらゆる面で着実に改善されている。
特に装着感とバッテリー持続時間の向上は日常使いでの快適性を大きく向上させており、これだけでも買い替えの価値はあったと感じている。
睡眠トラッキングという核心機能についても、精度向上は確実に体感できるレベルだ。健康管理を本格的に取り組みたい人には、現時点で最良の選択肢の一つだろう。
ただし、完璧な製品ではない。サブスクリプション費用、運動時の制約、データ解釈の難しさなど、課題もある。これらを理解した上で購入すれば、後悔することはないはずだ。
個人的には、Ring 5が登場するまでは、これをメインの健康管理デバイスとして使い続けるつもりだ。スマートリングという新しいカテゴリーの可能性を感じさせてくれる、価値ある製品だと思う。
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